おもちゃのCHU-CHU-CHU★
第18章 平川拓斗という男(その2)。
買って来たペットボトルのお茶を差し出すと、彼女はそれを少し口に含んで飲み下したあと、溜息を一つ吐いた。
「平川さん……。有難うございました」
「たまちゃんは僕の彼女なんだから、守るのは当然の事でしょ?」
そう言って頭を撫でると、彼女の目に涙がじわりと浮かんでくる。先程の事を思い出したのだろうか。可哀想になって彼女の肩を抱き寄せ、安心させるように背中をポンポンと叩いてやる。
「でも……偽物の関係なのに……」
「例え偽物の関係でも、目の前の女の子が困っていたら、男としては助けるのは当たり前の事だよ」
「平川さんは……優しいですね」
「女の子限定だけれどね」
冗談めかしてそう言うと、森脇さんは、ふふっと笑った。彼女に笑顔が戻って良かったと胸を撫で下ろす。
そう言えば、彼女が笑った顔をこんな風にしみじみと見るのは、初めてかも知れない。彼女の顔を思い出す時、頭に浮かぶのは、目を固く瞑り快楽に喘ぐ顔や、不安そうに眉尻を下げている顔ばかりだったから。
「たまちゃん。いつもそうやって笑っていた方が可愛いよ。……って、いつも啼かせているのは僕達だね……」
「別にアタシ泣いてなんか……」
「"なく"の意味が違ってるよ? 僕の言っているのは、エッチな事をされて喘いでいるたまちゃんの姿だよ?」