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第18章 平川拓斗という男(その2)。


 僕がそう言うと、彼女はハッとして顔を赤らめ俯く。そう言うところ、可愛らしくていいなぁと思う。本当に、彼女はいじらしくて、何とかしてあげたいと思ってしまう。

 だから、彼女の気持ちに気付いた時に協力してあげたいと思った。ヤマもあれでいて、彼女の事を嫌いではない筈だから。寧ろ、好意的に思っているだろう。

 ヤマは二十歳くらいの時、ホストとして働いていた。"超"が付く程の人気で月に二千万は稼いでいたのではないかと噂されていた。妹さんが生まれたのを機に、ホストを止めてヘアメイクの勉強をして、その道に進んだが、縁があってウチの会社に来る事になった。

 商売柄かヤマは適当な事を言って、女の子を持ち上げ、その気にさせるのが上手い男だった。けれど、森脇さんに対しては、そう言う事は一切しない。事務的な仕事も真面目に教えているし、悪いところがあれば注意もする。時々、ふざけた事を言って揶揄(からか)ったりしているが、至って真面目に対応している。

 勿論、毎日「可愛いね」なんて事は言っているけれど、それは僕やカワも言っている事だし、僕達にとっては挨拶みたいなものだ。でも、嘘を言っているつもりもない。森脇さんは可愛いと思う。最初に会った時は、随分と個性的だなと思ったけれど。

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