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おもちゃのCHU-CHU-CHU★

第19章 山岡一徹と言う男(その2)。


 「朝礼を始めるぞ」と言う高槻さんの一声で、いつもの様に朝礼が始まる。紅一点のモリリンが居ないってだけで、何だか味気ない気がした。やっぱり、女の子は花だよな。口数の少ないモリリンだけど、そこに居てくれるだけで、潤いを感じるもんな。

 朝礼は人数が少ない事もあり直ぐに終わり、俺は坂内部長に呼ばれる。王子が出社するまで、下出──シモの面倒を見てやってくれと頼まれた。野郎相手か。つまんねーの。なんて思った事は、シモには言えないな。

 シモは俺なんかが面倒を見なくても、十分一人でやれるんだけどな。放って置けば、勝手に企画書なんかを作っては高槻さんに見せてるし。素材についても、色々と勉強しているらしく、より人の肌に近いものなんかを取り入れている。医療用の物だ。ヤツの企画はコストが掛かる為、室長に却下される事が多いけど。

 いかにコストと品質の折り合いをつけるか。そのバランス感覚は商品の企画開発においては重要なポイントだ。確かに高くても売れる物は売れるが、ユーザーとしては、品質が良くてコストパフォーマンスの良い方がいいに決まっている。商品が商品なだけに、試す事が出来ないから、その辺はシビアになるだろう。俺だって、買うならコストパフォーマンスの良いもの方がいい。

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