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おもちゃのCHU-CHU-CHU★

第22章 川上達哉という男(その2)。


 取り敢えず、種は蒔き終えた。後はどんな風に彼等の気持ちが育っていくかだ。はっきり確かめたワケじゃないけど、今の所モリーの気持ちはヤマにあると思う。出来れば、モリーにはヤマを救ってやって欲しい。その上で、モリーも幸せになるのであれば、俺としては一石二鳥だ。王子には悪いけど。でも、暫くはモリーを独占出来るという特典があるのだから、許して欲しいと思う。

 そうだよ。モリーを攻めるのは、楽しかったのに! その楽しみを王子は独占しているんだから。でも、それで良かったのかも。俺の中の野獣が目覚めてしまったら、それこそブレーキが利かない。そんなヤツが傍にいたら、モリーが危ないもんね。これを機に、研修担当も外させて貰おうかな。代わりに、シモの担当にさせて貰おう。あの子の企画、結構、俺好きだし。それに王子じゃシモの仕事面の教育は出来るかも知れないけど、"男"としての教育は無理だ。今のシモじゃ、モリーを傷付け兼ねない。精神面でも、肉体面でも。この前も、モリーの事を襲いそうになってたし……って、何で俺はこんなにモリーの事を心配しているんだろう。親友を救ってくれそうな救世主だから? 本当にそれだけ?

 モリーって不思議な子だからなぁ。何か放って置けない。心配になる。何かのフェロモンを発してる? そうでなきゃ、あの高槻室長が、仕事以外であんな事をしないよねぇ。モリーのコンタクトレンズ代も下着も洋服も、全部あの人のポケットマネーだ。いい所のお坊ちゃんらしいんだけど、何でこの仕事に就いたんだろう。あの人も不思議な人だ。まさか、モリーに一目惚れって事はないよね? これ以上、人が絡んでくると厄介だから勘弁だよ。

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