おもちゃのCHU-CHU-CHU★
第22章 川上達哉という男(その2)。
『にゃあぁぁぁん!!』
ベッドを囲うカーテンの向こう側から、時折聞こえるモリーの可愛い喘ぎ声。これは結構、地獄だよねぇ。多分、皆、頭の中で想像しちゃってるだろうなぁ。王子も場所を選んでくれればいいのに……。シモなんて、さっきからチラチラとベッドの方を見てるし。普通の会話は声を潜めているのか聞こえてこないけど、嬌声は抑えられないみたい。途中、王子が出たり入ったりしたが、未だにベッドから二人は姿を現さず。中で何をやっているのか、やはり気になる。まあ、サンプルのモニタリングである事は間違いないんだけど。その内、王子の切羽詰まった声やベッドがギシギシと軋む音が聞こえてくる。
(まさか……。モリーと王子、本番!?)
そこまでは計算していないよ? 王子には、モリーが王子の事を好きだと確証が持てるまでは、絶対に手を出さない事を約束させたのに。モリーにだって、「本当にこの人」と思える人が出来るまで、簡単にエッチしちゃ駄目だよってきつく言ってあるのに。
俺は焦って席を立つと、ベッドまでツカツカと歩み寄り、カーテンをバッと開けた。ベッドの上には、全裸でネコ耳を付けた王子が、ティッシュでモリーの顔を抑えて「ペッてして!」と言っている。モリーは同じくネコ耳を付け、半分涙目になりながら、口の中の物を吐き出していた。
「うわっ!? カワ? 何!? いきなり、何なの!?」
「"何なの?"はこっちの台詞だよ? 就業時間内はオモチャ以外でイッちゃ駄目なの、分かってるよねぇ?」
俺は王子を上から見降ろし、プレッシャーを掛ける。王子は焦りながら弁解の言葉を口にした。
「だから、オモチャでイッたよ!?」
「じゃあ、モリーが口から吐き出したのは何!?」
「そ……それは……」