おもちゃのCHU-CHU-CHU★
第22章 川上達哉という男(その2)。
言葉を濁す王子を庇うように、モリーが口を開く。
「あの……っ! 違うんです。コレはアタシが勝手に……。その……川上さんに見せて貰ったDVDの女の人を真似して……」
「えっ!?」
何て事だ。教育として見せた(と言うか、自分がエッチをしている所を見せてモリーがどんな反応をするのかが見たかっただけだけど)DVDに感化されて自分でしたって言うのか? 受け身なモリーが、自分から!? それって、王子の事を!?
早くも勝負がついてしまいそうな気配に、俺は焦る。ヤマが浮上する前に、二人にくっついて貰っては困る。王子を嗾(けしか)けたのは、間違いだったのかな? 俺が相手になれば良かったの? でも、俺じゃあモリーに自信を持たせてやれるか分からないし。それこそ、付き合っている振りして、昔の俺が目を覚ましてしまったら、モリーを傷付け兼ねないよ。だから、王子に白羽の矢を立てたのに……。
俺は全裸の王子(ネコ耳付)を引っ張って、備品庫に連れて行くと王子に抗議した。
「ちょっとぉ!? 困るよ、王子ィ? お願いしたのは、モリーに自信を持たせる事だよぉ?」
「そうだけど……。だって、無理だよ。たまちゃんが健気過ぎて……。好きになっちゃったかも……」
「でも、モリーが好きなのは、ヤマだよ!? モリーの事、応援したいって言ってたよね?」
俺がそう尋ねると、王子はコクンと頷いた。心なしかネコ耳がしょんぼりと寝ているようにも見える。しかし、190センチ近くある王子の図体だと、ネコと言うよりは、叱られた大型犬みたいだ。思わず笑いそうになっちゃうよ。