おもちゃのCHU-CHU-CHU★
第23章 ざわつきのアフター6。
ざわつくエントランスホール内。悲痛な女子社員の悲鳴。男性社員は面白がって、口笛を吹く者もいる。
(ちょっ!? 何でこんな事を!? こんな所で!? 平川さん、一体、何を考えてんの!?)
アタシは何とか逃れようと、必死に平川さんの胸を押し返す。けれど、腰にしっかり回った腕が、それを阻む。昼間に見た筋肉がついて引き締まってた平川さんの身体を思い出す。力では到底敵うワケがない。それでも、アタシは必死に胸を叩いて、止めてくれと訴え続ける。しかし、アタシが暴れれば暴れる程、平川さんはアタシを抱き寄せる力を強くしていき、身動きが取れない程強く抱き締められてしまった。
平川さんの舌が、アタシの口を割って中へと侵入してくる。普段の物腰の柔らかい平川さんとは思えない程、激しくアタシの口内を蹂躙する。アタシの舌を捉えようと、平川さんの舌がアタシの口内で暴れ回る。苦しくて息が出来ない。こんなの嫌だ。そう思った瞬間、アタシは平川さんの舌を噛んでいた。
「痛っ!!」
平川さんが唇を離し、口元を抑える。アタシはやっと解放され、肩で息をしながら、平川さんを睨む。
「アタシの嫌がる事はしないって、言ったのに……。こんな所で、人の見てる前で……。酷いです!!」
アタシは今まで生きて来た中で一番大きな声で平川さんに言葉を投げつけると、その場から走って逃げた。周りの視線が痛かったから。アタシだって分かってる。平川さんとアタシでは不釣り合い。だけど、別にアタシは平川さんと本当に付き合っているワケじゃない。それなのに……。何で? どうして平川さんはあんな事をしたの!?