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おもちゃのCHU-CHU-CHU★

第23章 ざわつきのアフター6。


 泣きながら走って、走って、走って……。"ドンっ!"と誰かにぶつかって転ぶ。AD部の初日にもこんな事があったな。でも、ここは会社の中じゃない。道に伏せたまま、泣くワケにはいかない。アタシは急いで置き上がると、散らばった鞄の中身を掻き集める。すると親切な人が、転がったお弁当箱の包みを拾ってくれたのが、視界の隅に映った。

 差し出されたお弁当箱の包みを受け取り、頭を下げる。嗚咽が込み上げてきて言葉に出来なくて。それが精一杯だった。アタシは、その人の顔も見ぬまま俯いてまた走り出す。今度はぶつからないように気を付けながら。表通りは人目につくと思ったアタシは、裏通りに入り人気のない公園を見つけると、そこのベンチに腰を下ろして、泣いた。

 アタシは何で泣いているんだろう。平川さんが嘘を吐いた事が悲しいから? 女子社員達の嘲笑が悔しいから? 良く分からないけれど、涙が溢れて止まらない。

 平川さんは何であんな事をしたの? アタシの事が嫌いだから? でも、昼間はあんなに優しかったのに。ううん。あのキスの前までは、ずっと優しかったのに。分からない。分からないよ。平川さんの気持ちが。

 堪えても堪えても、絶えず溢れ出る涙をハンカチで拭う。マスカラやアイライナーが涙に溶けて、ハンカチに黒いシミを作る。きっと酷い顔をしているんだろうな。電車に乗れるかな。でも、乗らなきゃ帰れない。その前に涙を止めないと。そんな事を考えている時だった。

 「森脇さん?」

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