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おもちゃのCHU-CHU-CHU★

第23章 ざわつきのアフター6。


 アタシの名を呼ぶ声に顔を上げると、そこには池田先生が立っていた。あれ? 何でここに居るの? 今日は出勤の日じゃなかった筈だけど。そんな事をぼんやりと考えていると、池田先生は近付いて来て、アタシの隣に腰を下ろした。

 「やっぱり、森脇さんだった。泣いてるみたいだったので、追いかけて来てしまいました」

 そう言うと、先生はきちんとアイロンの掛けられた綺麗なハンカチを差し出してくれた。アタシはそれを受け取ると、膝の上でギュッと握り締める。何だか使うのが申し訳なくて。アタシの顔は涙で溶けた化粧で、きっと汚れているから。

「どうしたんですか? 何があったのか、話してくれませんか? 」

 先生は、穏やかな声でそう言うと、膝の上に置いたアタシの手を温かい手で包み込んでくれた。先生の手の温もりにホッとしたのか、また、涙が零れて来る。この涙の意味なら分かる。安堵の涙だ。

「先生、どうしてここへ? 今日は出勤の日じゃなかったですよね?」

 アタシが泣きながらそう尋ねると、先生は「さあ、どうしてでしょう? きっと森脇さんが泣いている、そんな気がしたからですかね?」と言って微笑み、頭をそっと撫でてくれた。本当かどうかは分からないけれど、アタシを見つけてくれた事、そして追いかけて来てくれた事は嬉しかった。一人じゃ心細かったから。だから、先生に会えてホッとした。

「それより、何で泣いているんです? 主治医の私に話してはくれませんか?」

 先生はそう言うと、アタシの顔を覗き込んだ。ぐちゃぐちゃな顔を見られたくなくて、思わず掌で顔を隠す。すると先生は、アタシをそっと抱き締めた。「顔を見られたくないのでしたら、こうしていましょう」と言って。

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