無料で楽しめるちょっと大人のケータイ小説

　先生の舌が、アタシの舌を絡め取る。池田先生とキスをしていると言う予想外の展開に、頭がついていかない。先生は、アタシの両頬を掌で包み、深く深く、アタシの口内を探る。

　朝も公園で平川さんとキス……したんだっけ。あの時は、別に嫌じゃなかった。子供達や付き添いの先生らしき人には見られてしまったけれど。あの時は、痴漢に遭ったばかりで、気持ちが落ち込んでいたから？

　池田先生に口付けられながら、アタシはどうしても平川さんの事を考えてしまう。何でなんだろう。自分の気持ちが分からない。アタシは山岡さんに恋をしていて、一番気に掛けるべきなのは、山岡さんの事なのに。

　"ズキン"

　山岡さんの顔を思い浮かべると、胸が痛くなる。アタシが平川さんと付き合う事になったと聞いても、山岡さんの態度は変わらなかった。それどころか、少し余所余所しく感じた。平川さんは「気のせいだ」と言ったけれど、気のせいじゃない気がする。アタシはどうするべきなんだろう。どうすれば良かったんだろう。先生に訊いてみても、いいのかな？

　アタシが身動（みじろ）ぎし、トントンと先生の胸を叩くと、先生は唇を解放してくれた。「どうしたんですか？」と尋ねられたので、アタシは思い切って先生に訊いてみる事にしたのだった。