おもちゃのCHU-CHU-CHU★
第4章 高槻雅史という男(その1)。
「ひゃん!!」
くちゅっと言う水音と共に、背中を走った甘い痺れに、アタシは思わず声を上げ、ビクンと身体が跳ねる。そんなアタシの反応を見て、高槻さんは喉の奥でくつくつと笑った。
「いい反応だ。いいか、森脇。君の仕事は身体を使って、与えられた快楽を我々に伝える事だ。言葉にしなくてもいい。我慢はするな。素直に感じたままを身体で伝えるんだ。いいな?」
そう言ってアタシの頬を撫でる、高槻さんの手は、少しひんやりとしているが優しかった。
つい先程まで、高槻さんを怖いと思っていたけれど。それが少しだけ薄れた気がした。
正直言って、これから先、どんな事を要求されるのかは分からないけれど、命を取られるワケじゃないし。
出来る限り頑張ってみよう。それが商品を買ってくれる人の為になるのならば。
そう決意して、高槻さんに頷いて見せる。すると高槻さんは「森脇は素直でいい子だな」と言って、頭を撫でてくれた。
両親以外の人にこんな事を言われたのは初めてで。アタシは素直に嬉しかった。そして、上司であるこの人にきちんと評価して貰える仕事をしようと思う。
言葉で表現しなくてもいいのだ。それならば、アタシにだって出来る筈。