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おもちゃのCHU-CHU-CHU★

第27章 アタシの気持ち(その1)。


「おやっさーん? どう思います?」

 そう言って若い警備員さんが、奥の年配の警備員さんに声を掛けると、「どれどれ」と言って年配の男性が窓口までやってきた。そして画面とアタシを「う~ん?」と唸りながら、暫くの間見比べる。やがて年配の警備員さんが「本人だろ」と言うと、若い方は「よく分かりますねぇ?」と驚きの声を上げた。更に「流石、元刑事っすね!」と感嘆の声を上げると、年配の警備員さんは、「大した事ねぇよ」と言って、また監視カメラのモニターの前に戻った。

「んじゃ、本人確認取れたんで奥へどーぞ」

 そう言って若い警備員さんは、カウンターの上にあるスイッチの様な物を入れると、奥の扉が自動で開いた。って言うか、何で岩戸!? そう言えば、この通路も薄暗くて、壁はゴツゴツした作り物の岩の様な感じだ。やっぱり、子供のオモチャを作っている会社故の遊び心なのだからだろうか。一度だけ行った事のある、社食も中々楽しい内装が印象的だったなと思い出す。AD部のある地下階は、寒々しい程事務的な造りなのに。

 取り敢えず、アタシは「有難うございます」と言って奥へ進もうとすると、警備のお兄さんに呼び止められ、「写真、変えて貰った方がいいぞー?」と言われた。確かに。アタシもそんな気がするよ……。でも、誰に申請すればいいんだろう? 後で山岡さんにでも訊いてみようと思った。そして、ふと気付く。そう言えば、何だか余所余所しかったなと。もう、前みたいに揶揄ったりとかしてくれないんだろうか。そう思うと凄く寂しいなと感じた。

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