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「単刀直入に訊くけど、王子とは別れた事になったの？」

　そう川上さんが尋ねてくる。アタシは昨日のロビーでの一件で、皆さんが別れたと思ったのならば、そうだと答えた。それに対し、川上さんはどう言う事なんだと、更に質問を投げ掛けてくる。だからアタシは正直に、平川さんとは偽のお付き合いをしていただけだと白状した。しかし、川上さんはそれを知っていた様で、提案したのは自分なんだとこれまたカミングアウト。

「あのさぁ、モリーに確認したいんだけど……。モリーはヤマの事、好きだよね？」

　ふざけた様子のない川上さんの声に、アタシは顔を上げると真剣な目をした川上さんがアタシを見ていた。茶化されているのではないのだと思ったアタシは、素直に頷く。すると川上さんは「そっか」と言って、ホッと溜息を吐いて、椅子に凭れ掛かった。

「どのくらいの好き？ それによっては、親友である俺がヤマの背中を押すよ？」

「それが……。この二日くらいで分からなくなっちゃって……」

「ええ？ どう言う事!?」

「それは……言えません」

「王子の事が好きだと気付いたとか？」

「それはないんですけど……」

　アタシは正直言って、今の自分が何処を向いているのか分からなくなっていた。山岡さんを好きだと思う気持ちはあるけれど、アタシは池田先生とエッチな事をしている。"治療"とは言っているけれど、多分、あれって治療じゃないんだろうなって、気付き始めていた。それでも、池田先生にまた治療をして貰いたいと言う気持ちがある。それじゃあアタシは池田先生を好きなの？って考えると、それがよく分からなくて……。でも、今、アタシが一番信頼しているのは、池田先生だ。