おもちゃのCHU-CHU-CHU★
第27章 アタシの気持ち(その1)。
でも、"信頼"と"恋愛感情"って、幾ら経験のないアタシでも、違うよねって分かっている。恋愛感情の先に信頼と言うものはあるのかも知れないけれど、"信頼=恋愛感情"ではない。じゃあ、エッチな事をされてもいいと思うのは恋愛感情なのかな。もし、そうであるとするならば、アタシの池田先生に対する想いは、恋愛感情だ。そして平川さんに対する気持ちも。昨日、平川さんとじゃれ合っていて、嫌じゃなかった。楽しかったし、平川さんの事を喜ばせたいと思った自分もいた。そう考えると、自分の気持ちが、何処に、誰に向かっているのかが、分からない。
こんなグチャグチャな気持ちのまま、山岡さんがもしアタシを好きだと言ってくれても、後で山岡さんを傷付ける事にならないだろうかと言う不安がある。って言うか、山岡さんがアタシを好きになってくれる可能性はかなり低い方だろうけど。だったら、アタシを好きだと言ってくれる人の手を取った方が、幸せなんじゃないかなって狡い考えが頭を擡(もた)げる。でも、一方で「本当にそれでいいの?」と思う自分もいて。「ああ! もう! 恋愛なんて面倒臭い!! 逃げ出したい」と言う自分もいる。
アタシが黙ってしまうと、川上さんは溜息を零した。そして「何でもいいから話してご覧よ」と言って、俯いているアタシの顔を覗き込んだ。
「モリー? 自分の気持ちに整理が付かない時はねぇ、誰かに話すのも一つの手なんだよ? 人に話す事で、整理が出来なかった事が、少しずつ自分の中で片付いていく事もある。俺は、その手助けをしたいと思ってるよ? だから、話せる事だけでいいから、話してみない?」