おもちゃのCHU-CHU-CHU★
第27章 アタシの気持ち(その1)。
アタシの顔を覗き込んでいる川上さんの目は、茶化している様には見えない。信じて話すべきなんだろうか。でも、池田先生は言っていた。「男が女性に親切な時は、下心がある事の方が多い」と。どうなんだろう。川上さんはアタシと山岡さんをくっつけたいみたいだし、それはないんじゃないだろうか。けれど、どうしてそこまでしてくれるのか理由が分からない。
「どうして……?」
「え?」
「どうしてそこまでしてくれるんですか? アタシの恋愛事情なんて、仕事には関係ないですよね? 研修担当だからって、そこまでして頂くワケには……」
アタシは思い切って、川上さんの真意を尋ねる。本当の事を話してくれるかは分からないけれど。アタシは川上さんの目をじっと見つめて答えを待つ。すると川上さんは「ヤマの為だよ」と直ぐに答えた。
「どうして山岡さんの為なんですか? 山岡さんは別にアタシの事なんて……」
そうだよ。今日だって目も合わせてくれたなかったし。山岡さんの態度を思い出して気持ちが沈んだアタシは、机の上に視線を落とす。
「確かに今はモリーへの気持ちははっきりしてないけどさ。付き合いが長いから、何となく分かるんだよね。モリーの事は気に入ってるんだなって」
「でも、それは妹みたいだから放っておけないだけだって……」
「ヤマは、そう言って自分の気持ちを誤魔化しているだけだよ」
そうなんだろうか。でも、期待して違っていたら、ショックは大きい。
「花見の時さ……?」
「花見?」
「うん。あの時、ヤマはモリーにキスしたでしょ? あんないやらしいキス、女として見ていなければ、絶対にしないよ」