おもちゃのCHU-CHU-CHU★
第27章 アタシの気持ち(その1)。
「それにさ、俺達、ああいうエッチな事を散々モリーにしてるのに、キスしないの気付いてた?」
そう言われてみれば、就業時間内に唇にキスされたのは下出くらいしかいなかった気がする。平川さんとしたのは、出勤前だったし。モニタリングの時は、額にされたくらいだ。
「へぇ? 王子、おでこにチューしたんだ? そっか……。やっぱ本気か……」
「え?」
川上さんがボソッと呟いた言葉が聞き取れなくて、訊き返したけれど、川上さんはそれには答えてくれなかった。アタシは、皆さんがキスしないのは、オモチャの開発には関係ないからでしょうと尋ねると、川上さんは「それもあるけど、出来ないから」と答えた。
「必要であればするけど……俺達もさ、心と身体は別なんだよね。キスは出来れば好きな子としか、したくはないんだ」
川上さんの言葉は意外だった。恋愛慣れしていて、色んな女の人とエッチしているみたいだから、そう言うのは平気なんだと思っていた。
「色んな女の人とエッチはしてるけどさ、俺以外は皆、気に入った子としかしないと思うよ? 俺は仕事で散々してたから、必要であればするけど。でも、モリーは直ぐにエッチな気分になってくれちゃうから、今の所、俺のチューの出番はないかな」
「なっ!?」
「直ぐその気になる」って、アタシがエッチだって事だよね? 川上さんはそう言ってるんだよね? は……恥ずかしい。穴があったら入りたいけれど、ここに穴はないから、アタシは身を出来るだけ小さくするしかない。
「恥ずかしがる事なんてないよ。それだけモリーは素直って事だよ。だから、仕事もやりやすいし……。それで話は戻るけど、ヤマがあの時モリーにキスしたのは、"モリーとキスがしたかったから"なんだと思うんだよね」