おもちゃのCHU-CHU-CHU★
第29章 処女なのにGスポ開発!?
一度は山岡さんとギクシャクしたけれど、川上さんに相談したあの日の翌日から、何故か山岡さんはアタシに普通に接してくれるようになった。ひょっとして、川上さんが何か言ったんじゃないだろうかと思ったけど、それまでと同じ様に妹ポジション的な扱いだったから、余計な事は言わなかったんだと思う。いや、思いたい。
「よし、ここを使うか」と言って山岡さんが開けたのは、長い廊下にずらっと並ぶ扉の一つ。アタシは取り調べ室みたいな部屋しか入った事なかったので、他の部屋がどんな風になっているのか知らない。山岡さんは中に入ると照明のスイッチを入れる。するとそこには独特の空間が広がっていた。ベッドやソファーがあったり、テレビが置かれていたりして、どこかの部屋みたいなんだけど、照明がピンクって……。
「ここ、ラブホのセット」
「ラブホのセット?」
「そ。ラブホは知ってる?」
山岡さんに尋ねられて、アタシはブンブンと首を横に振った。「ラブホテル。ブティックホテル。レジャーホテル……。聞いた事ない?」と更に尋ねられて、アタシはまたブンブンと首を横に振る。"ホテル"と言うからには宿泊施設なんだよね、多分。
「もー……。モリリンはどんだけ箱入りさんなんだよー?」
山岡さんは笑いながらアタシの頭を小突いた。山岡さんが笑い掛けてくれているのが嬉しい。
「"ラブホ"はね、エッチな事をするのが主な目的のホテルだよ」
「え……。それがどうしてここに……?」
「ここさ、偶にAVの撮影に貸し出したりしてんの。所謂(いわゆる)スタジオってやつ?」
そう言いながら山岡さんは、ピンクの照明に照らされたベッドに座った。そして隣をポンポンと叩く。