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おもちゃのCHU-CHU-CHU★

第30章 高槻雅史という男(その2)。


 そうならない様に、坂内部長は森脇のパートナーを平川に固定すると言ったのだろうが、その時は残念でならなかった。折角、私好みの逸材が入って来たと言うのに。断っておくが、"私好み"と言うのは、見た目の事ではない。性格が、だ。森脇は流されながらも、完全に快楽堕ちしない。そこがいいのである。それに、誰の手垢もついていない無垢。これも私の心を擽(くすぐ)るのだ。自分好みの女性に仕立て上げる愉しみ。森脇には、そのロマンがあるのだ。逸る気持ちが、彼女にスーツと下着を買い与えると言う、自分でも異常だと思う行動に出てしまった。

 現在は、社内モニターの制度は廃止されているが、復活を望む声は多い。特に女性から。お目当てはうちの若い連中だろう。時々、私に「調教されたい」という奇特な女子社員が現れるが、興味深々な女性には私は興味がない。そんな事はどうでもいい話だが、社内モニター制度が廃止されている今、女性用のモニタリングは森脇が一人で請け負わなければならない。これは少し可哀想だとも思うが、何が普通なのかを知らない彼女は、素直に仕事として頑張っている様である。そう言うところも彼女の可愛いところだ。平川が「健気でいじらしくて構いたくなる」と言っていたのは、理解出来る。彼女は、我々の心を擽る"何か"を持っているのだ。

 そう。我々に逸脱した行動を取らせる何か。そうでなければ、私があんな事をする筈がないのだ。

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