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おもちゃのCHU-CHU-CHU★

第30章 高槻雅史という男(その2)。


 午後の就業時間が始まると、私は森脇に声を掛け、別室へと連れて行く。私のお気に入りスタジオ、拷問部屋へ。彼女を伴って部屋に入ると、森脇の足がピタリと止まる。後ろを振り返ると、目を丸くし、身体を硬直させた森脇が立っていた。まあ、異様な光景ではあるだろう。

 石を積み上げて作った様な壁。天井から下る鎖の数々。拷問器具。中世のヨーロッパの拷問部屋をイメージして作られたこの部屋は、ちょっとした拷問博物館の様だ。ここは主にSMの動画を撮る為に使用されている。

 私がこの部屋を気に入っているのは、拘束具があるからだ。よく間違えられるのだが、私は身体に痛みを与える趣味はない。鞭で叩く趣味もないし、芸術的な縛りにも興味はない。唯、快楽に悶え苦しむ姿を見るのが好きなだけだ。それには快楽から逃れられない様に、相手を拘束する必要がある。ここには、吊り上げる為の滑車、拘束用のベッド、枷等ありとあらゆる拘束具が置いてある。

 「怖いか? 安心しなさい。別に君の身体を痛めつけるつもりはないから」

 そう言って安心させようと微笑む。私の言葉に半信半疑なのか、彼女の足取りは重い。焦れた私は彼女の腕を引くと、比較的身体に負担のない、ベッドに押し倒し素早く手枷を嵌めた。

 「えっ!? 何ですか? これ……?」

 「君は過去に逃げだした事があるだろう? だから逃げ出さない様にと思ってだ」

 「アタシ、もう逃げたりなんかしません……」

 そう言いながらも怯える森脇の表情が堪らない。

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