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おもちゃのCHU-CHU-CHU★

第31章 鎮まらない疼き。


 ふと視線に気付き、顔を上げると坂内部長が穏やかな笑顔でアタシを見ていた。アタシの顔には心の内が出易いと、坂内部長に言われた事を思い出し、恥ずかしくなって俯く。だって、心を見透かされているみたいだったから。

 照れ隠しに「何か顔についていますか?」と尋ねると、坂内部長は笑って「いや、若い女性と食事をするのなんて久し振りだから嬉しくてね」なんてアタシを赤面させる様な事を言う。久々の女の子との食事がアタシだなんて申し訳ないと言ったら、部長は「そんな事はないよ。森脇さんとはゆっくり話もしたかったしね」と言って笑みを深くした。

 洋食屋さんは、夜はお酒も飲めて一品料理のメニューも豊富な所為か、結構混み合っていた。流石、常連さんらしく、お店の人が部長を見るなり、「坂内さん、いらっしゃいませ」と声を掛けてきた。

 「女性同伴なんて珍しいですね?」

 そう言って意味ありげに微笑むスタッフさんだったが、坂内部長は「残念ながら、部下だよ」と言って、アタシを紹介してくれた。「気に入ったら、ランチで利用してくれるかも知れないんだから、今日はサービスしてね?」なんて、冗談まで交えている。お店の奥には、半個室になっているスペースがあり、アタシ達はそこへ案内された。

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