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おもちゃのCHU-CHU-CHU★

第31章 鎮まらない疼き。


 「嫌いな物はある? 何でも好きなものを頼んでいいからね?」

 坂内部長はメニューを開いて渡してくれながら、そう言った。メニューには美味しそうな写真が沢山載っていて、どれにしようか迷ってしまう。アタシはどれも美味しそうで決められないからと、部長にお任せする事にした。部長は「うーん……? 若い女性の好みそうな料理かぁ……」なんて唸りながら、メニューと睨めっこをしている。するとスタッフさんが、メニューには載っていない、本日のお薦め料理を書いた黒板を持って席にやってきた。

 「坂内さん。今日はイサキのいいのが入ったんで、カルパッチョとかお薦めですよ?」

 そう言いながら、スタッフさんは丁寧に説明してくれる。坂内部長は「結構、混んでいるのに、こんな所で油を売っていていいの?」なんて揶揄(からか)いながらも、スタッフさんの説明を一通り聞いた後、イサキのカルパッチョとシーフードサラダ、リゾット等を注文する。スタッフさんは注文を伝票に書きこむと、黒板を抱えてフロアに戻って行った。そして直ぐに戻って来て、「こちらはサービスです」と、グラスワインをアタシ達の前に置いた。正直、花見の時の失敗もあるし、お酒は控えようと思っていたのだけれど、一緒にいるのは坂内部長だし、一杯くらいなら平気だろうと思い、グラスを手に取る。部長と乾杯し、一口飲んでみるとさっぱりとした口当たりの白ワインで飲み易い。坂内部長はグラスを傾けながら、「"サービスしろ"って言ってみるもんだね」と言って笑っていた。

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