おもちゃのCHU-CHU-CHU★
第1章 ぷろろーぐ。
そんな不格好なアタシの事を見たら、誰だって笑うか憐れみの目で見るよね……。
子供の頃から、こんな容姿だったせいか、人に笑われるので人と話すのが怖くなった。
親に何度も訴えたけれど、一人っ子のアタシを溺愛する両親は、「そのままで十分可愛い。これ以上可愛くなったら誘拐されるから」と言って、可愛い洋服も靴もリボンも買ってはくれなかった。
そのお陰なのか、アタシにはお洒落心と美意識と言う物が、未だに芽生えていない。
周りを見回せば、自分の体形にピッタリのスーツを着こなした女の子や男の子達ばかりで、アタシの存在だけが、宙に浮いているみたいだった。
「今時、あんな子、まだ居るのねぇ」と言って隣の子と笑い合う女の子達。「あんなブスがAD部だって? 務まるのかね?」そう囁き合う男の子達。
皆の視線が荊棘(いばら)となってアタシの心に絡み付いては、深く突き挿さる。
それが居た堪れなくて、アタシは視線を避ける様に足早に「AD部」という札を掲げた、男の人の元へと歩み寄る。
すると男の人は、驚いたのか一瞬だけ目を見開いたが、次の瞬間には「よろしくね」と言ってニコリと笑った。