おもちゃのCHU-CHU-CHU★
第5章 平川拓斗という男(その1)。
「喘いでいる森脇、可愛いよ。グチュグチュのココに俺のをぶち込んで掻き回したい……」
そう言って、アタシの頬を撫でた手で、アタシのアソコを触る下出。こいつは何を言っているんだと、驚きに目を見開いていると、下出の唇が近付いてきて、アタシの唇に重なった。
ふにゃっとした生暖かくて柔らかい感触。それがキスだと言う答えをアタシの脳が弾き出すまで、数秒。その間アタシは唯、パチパチと瞬きを繰り返していた。
(んぎゃーーーーーー!!!!)
アタシは心の中で叫ぶ。アタシのファーストキスが、出会ったばかりの男に奪われた。しかも、こいつは、アタシの大事な所に、指を入れようとしているではないか。
もう、罵声を浴びせられようとも関係ない。貞操の危機だ。アタシは覚悟を決めて下出の唇に噛みついた。
「痛ぇっ!!」
そう言って身を捩り、口元を押さえ蹲(うずくま)る下出。アタシは下出の身体が離れた事にホッとした。
アタシが下出の唇を噛んだ衝撃で、彼が手放したタコさんが、床の上で、"ウィーン、ウィーン"と唸っている。
一瞬の間の後。
下出が顔を上げると、そこには先程の熱の籠った瞳ではなく、闘争本能を剥き出しにした、ギラついた男の瞳があった。どうやら、アタシの抵抗は火に油を注いだだけだったらしい。