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おもちゃのCHU-CHU-CHU★

第32章 肩透かしの夜。


 "ポーン"とチャイムが鳴り、目的のフロアに到着した事を知る。扉が開く前に、彼女の唇を解放し、エレベーターを降りて廊下を歩く。誰ともすれ違わずに、部屋へ到着。鍵を開け、彼女を中に促す。

 森脇さんは、キョロキョロと部屋の中を見回し、窓の外に広がる夜景に目を止めると、パッと顔を輝かせて窓辺に走り寄った。

 「凄い、綺麗ですね!!」

 目を輝かせて振り向く森脇さん。僕はその後ろにそっと立つと、彼女の華奢な身体を包む様に腕を回し、彼女の肩に顎を預けて暫くの間、一緒に夜景を楽しむ。

 (さて、どうするか?)

 日付が変わる前には、彼女を送り届けなければならない。余り時間はないので、早速、行動に移す事にする。夜景を見ている彼女の首筋に唇を這わせ、軽い口付けを幾つも落とす。すると、森脇さんは擽ったそうに首を竦めてクスクス笑う。

 「シャワーは浴びる?」

 僕が尋ねると彼女から、「部長からどうぞ」と言う答えが返ってくる。一緒に入るかと尋ねると、顔を真っ赤にして首が千切れそうな程の勢いで横に振る森脇さん。振られてしまったか。ちょっと残念に思いながら、先に使わせて貰う事にした。

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