おもちゃのCHU-CHU-CHU★
第33章 呼び出し。
指定されたホテルの近くに車を停めると、急いで部屋を目指す。何でたまちゃんと坂内部長が? ホテルに行ったって事は、二人の仲はそう言う仲って事なのか? いつの間に? 急に浮上した新たなライバルの出現に、僕は焦りを隠す事が出来ない。
男の僕から見ても、坂内部長は格好いい。あんな風に年を取りたい。そう思える人だ。僕は坂内部長を尊敬している。あの人に近付きたい。纏う雰囲気、仕草、人への気配り。僕は彼を盗み見ては、勉強させて貰っている。
そんな人だから、たまちゃんが好きになってしまうのは、仕方が無い事かも知れない。部署内でも最も頼りになる人だし。でも、ヤマの事は? 最近、また仲が良くなった──と言うよりも進展した様に見えたのは勘違いだったのだろうか。
ヤマが相手だったら、何とか善戦出来るかもと考えていたけれど、坂内部長が相手では、太刀打ち出来ないかも知れない。人間性、仕事振り、女性の扱い方。どれをとっても、僕は足元にも及ばない。それに僕は彼女を傷付けたと言うハンデがある。
でも、だからと言ってたまちゃんの事を諦められるのかと問われれば、それは出来ないと僕の心はハッキリ決まっているのだが。