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おもちゃのCHU-CHU-CHU★

第33章 呼び出し。


 焦りと苛立ちから、何度もエレベーターのボタンをカチカチと押してしまう。早く動いてくれ。そう心で祈りながら、降りて来たエレベーターに飛び乗ると、「閉じる」ボタンをまた何度もカチカチと押した。そんな事をしても、変わりはないのに。

 エレベーターの扉が閉まり、動き出すと階数表示のパネルを見上げる。何でエレベーターに乗ると、ついこの表示を見てしまうのだろう。睨んだからって、早く動くワケでもないのに。

 それに、坂内部長が僕を呼び出した時点で、たまちゃんとそう言う事はしないつもりであると言うのは分かっているのだから、そんなに焦る必要もないのに。

 でも、何故か気が急いてしまうのだ。彼女の事になると居ても立ってもいられなくなる。僕って"せっかち"だったんだなと、苦笑せずにはいられない。

 僕は周りからは「完璧だ」とよく言われるけれど、僕はそんな事を思った事等、一度もない。僕は格好の悪い人間だ。特にたまちゃんを好きになってから、情けない程に格好が悪い。焦ってたまちゃんを傷付けて。そして彼女を諦められなくて足掻いて……。

 僕が坂内部長の様に、"大人の男"として彼女を包み込むには、未だ時間がかかりそうだ。その間に、たまちゃんは、他の男のものになってしまうんだろうな。

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