テキストサイズ

おもちゃのCHU-CHU-CHU★

第33章 呼び出し。


 「僕は君の気持ちも知っているし、色んな事で迷っていたよ。でも、彼女が望むのであれば、最後までいくつもりだったんだけどね……」

 坂内部長はたまちゃんの頭をそっと撫で、僕の見ている前で、彼女の額に口付ける。そして、もう一度彼女の頭を撫でると、身体を起こし僕の方へと向き直る。

 「彼女を送ってくれると言うのであれば、一緒に駐車場まで行こう。彼女は軽いから大丈夫だろうけど、荷物もあるしね」

 そう言って坂内部長は、真っ直ぐな視線を僕に向ける。僕は坂内部長に試されているのだろうか。彼女をどこまで大切に思っているのか。それとも、どれ程彼女を求めているかだろうか。

 折角のチャンスだから、このまま朝まで一緒にいたいと言う気持ちはある。エッチはしなくても、朝まで彼女を抱き締めて眠れたら、きっと幸せな気分で目覚める事が出来そうだ。けれど、今頃、彼女のご両親は心配しているだろう。

 「彼女を家まで送り届けます」

 僕は坂内部長の視線を受け止めて、そう答える。すると、坂内部長は「そうか」と言って、しゃがみ込むとたまちゃんを背中に載せる様、僕に指示を出した。僕は、彼女を起こさないように、出来るだけゆっくり彼女を抱きかかえ、部長の背中に背負わせると、着ていたジャケットを彼女の背中に掛けた。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ