おもちゃのCHU-CHU-CHU★
第34章 アタシの気持ち(その2)。
家の前に着くと、平川さんは車を降り、迎えに出て来た両親に、事情を説明してくれる。父は不機嫌そうに平川さんを見ると、さっさと家の中へと引っ込んだ。池田先生の時とは偉い違いだ。多分、平川さんに送って貰う時のアタシは酔っているから、あまり心象がよろしくないんだと思う。その反面、母は上機嫌だ。きっと平川さんがイケメンだからなんだろうな。これから数日間、母は平川さんの事について尋ねてくるだろう。前回、送って貰った時もそうだったから。
平川さんの車を見送って家の中に入ると、案の定、母は平川さんの事について尋ねてくる。「本当に付き合っていないのか」とか、「どう思っているのか」とか。アタシはその問いには答えず、「遅い時間だからお風呂に入って寝るね」と言って、さっさと自分の部屋へと向かった。
「どう思っているのか」なんて質問、特に答えられない。だって、アタシ自身がどう思っているか分からないんだから。嫌いじゃないし、素敵な人だと思う。キスされるのも、エッチな事をされるのも嫌じゃない。最初の内は緊張したけれど、今は普通に接する事が出来る。優しさで言えば、山岡さんよりも優しいかも知れない。だけど、決定的に「好きだ」と思える何かが足りない。何でなんだろう。優しくて、素敵で、仕事も出来て非の打ち所がない人なのに。
アタシは部屋に入ると、そのままベッドへダイブした。そして今日の事を思い起こす。山岡さんとエッチな事をして、夜には坂内部長とだなんて、何てふしだらなんだろう。どうしよう。坂内部長は偉い人なのに。欲に溺れたと言って、辞めさせられたりしないだろうか。