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おもちゃのCHU-CHU-CHU★

第35章 忙しい連休(その1)。


 お店を出ると、山岡さんはスッとアタシの手を取って歩き出す。十八時半から飲み始めて、二時間程経った今は未だ二十時半をちょっと過ぎたくらいだった。表通りを歩き、山岡さんがタクシーを停めると二人で乗り込む。行き着いた先は東京タワーだった。そこでチケットを買い、特別展望台へとエレベーターで一気に二百五十メートル上空へと昇る。

 眼下に広がる東京の街の灯りがキラキラと瞬いている。つい最近、夜景を見たばかりだけど、その時よりも高い所からの眺めは圧巻で。暫くその光景に目を奪われた。ゆっくりと手を繋いで展望台の中を歩く。東の方向に行くと山岡さんは、「俺の家はアッチ」と言ってスカイツリーの方を指差した。「山岡さんのお家ってあっちの方なんですね」と言うと、「今度遊びにお出でよ」と誘われた。

 「何なら、連休中に来る?」

 「え?」

 「えっと……。休みの時に会えないかなって……。休みの日に会社の人間と顔を会わせるのは、嫌?」

 「そんな事ないです。山岡さんなら……」

 そう言ってハッとして口を噤んで手で抑える。どさくさに紛れて、アタシは何を言おうとしているんだろう。恥ずかしくなって俯くと、山岡さんがアタシの両手を取って一歩近付く。

 「モリリン……、こっちを見てよ」

 耳元でそう囁かれて顔を上げると、山岡さんの瞳がアタシを捉えていた。

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