おもちゃのCHU-CHU-CHU★
第35章 忙しい連休(その1)。
「いいよ。無理に言わなくて。モリリンが言葉にするのが苦手なのは、分かってるから。その代わり、態度で教えてくれる?」
そう言われて、アタシは自分の「好き」な気持ちを込めて、山岡さんにギュッと抱き付いた。山岡さんの胸に、顔を埋めてみて気が付いたけれど、山岡さんの心臓も、アタシと同じくらいドキドキしていた。
アタシが山岡さんにギュッとしがみ付いていると、山岡さんは優しくアタシの頭を撫でてくれて、そっと蟀谷(こめかみ)に口付けてくれる。本当は唇にしたいけど、お酒臭いから我慢すると言って。
「このまま帰したくないけど……。でも、今日は我慢する。酒に酔った勢いとか、モリリンに思われたくないし……」
そう言うと山岡さんは、もう一度アタシの蟀谷に口付けてから、そっと身体を離した。「酔った勢い」と言う言葉に、一瞬、ドキッとした。以前、川上さんに愚痴った事を思い出したからだ。ひょっとして、川上さんに何か聞いているのだろうか。
「カワから? 何も聞いてないよ。唯、怒られた。俺がモリリンを避けているみたいだって落ち込んでるから、ちゃんとしろって。何が理由で避けているかは知らないけど、研修担当として、先輩として最後までちゃんと面倒みろって……」