おもちゃのCHU-CHU-CHU★
第35章 忙しい連休(その1)。
山岡さんに連れて来られたのは、山岡さんのお家で。お父様は朝までお店を営業しているし、お母様と妹さんは、ゴールデンウィークを利用して、北海道の親戚の家に遊びに行ってしまったと言う。
「だから、朝まで二人きりだよ?」
そう言うと山岡さんは玄関の扉を開けて、アタシを中へと促した。外観は、下町情緒溢れる純和風な造りだったけれど、中は綺麗にリフォームされていて、リビング・ダイニングもフローリングで洒落た感じだった。二階の山岡さんのお部屋に案内され、荷物を置くと、アタシは部屋を見回した。
八畳くらいの広さで、濃い茶色のフローリングと籐家具、そして大きな葉っぱの観葉植物が南国の雰囲気を醸し出している。部屋の隅には、焦げ茶色のリネンでカバーリングされた背の低いベッド。部屋の中央には、硝子テーブルの上にノートパソコンが置かれており、下にはアジア・テイストの幾何学模様のラグが敷かれている。ベッドの向かい側の壁には、籐で出来た、高さの違うチェストが階段の様に並んでおり、その中の一つの上には、テレビが置かれていた。全体的にアイボリーと焦げ茶色で統一されていて、落ち着いた感じのインテリアだ。
かなり拘りがあるのだろうかと思うくらい、綺麗に纏まったお部屋だった。山岡さんはアタシに、適当に座る様に言うと、飲み物を取りに一階へと下りて行った。アタシは散々迷った結果、部屋の中央のラグの上に座って山岡さんが戻ってくるのを待った。