おもちゃのCHU-CHU-CHU★
第35章 忙しい連休(その1)。
「お待たせ」と言って、盆に乗せたグラスとお茶の入ったペットボトルを携えて、山岡さんが戻って来ると、それをテーブルの上に乗せた。グラスにお茶を注ぎ、アタシの前に置くと、足は痛くないかと尋ねる山岡さん。アタシが「ちょっとだけ」と答えると、「それじゃあお風呂に入ってゆっくりして来なよ」と、山岡さんは言った。
「ちゃんと着替えは持ってきた?」
そう尋ねられて頷くと、それを持ってついてお出でと、山岡さんが立ち上がる。アタシは鞄の中から、巾着に入れた下着と部屋着を取り出すと、山岡さんの後ろについて部屋を出た。お風呂場は一階にあり、既に湯が張られていた。シャンプ―やリンス、石鹸はこれを使ってくれと、山岡さんが教えてくれ、「それじゃあ、リラックスしてね」と言って、アタシの項にチュッと口付けを落とすと、脱衣場から出て行く山岡さん。
親戚のお家以外で、他所の家のお風呂に入るなんて初めての経験のアタシはドキドキしながら、服を脱ぐ。突然、山岡さんが入って来たらどうしよう? なんてドキドキしながら、身体や髪を洗ったが、そんなハプニングは訪れず、拍子抜けしたアタシは湯舟に浸かると「はぁーっ」と溜息を零した。
(アタシったら何を期待してるんだろう……。恥ずかしい……)
心の中でそうごちりながら、アタシはバシャバシャと自分の顔にお湯を掛ける。すると、脱衣場の方から扉がパタンと閉まる音が聞こえた。