おもちゃのCHU-CHU-CHU★
第37章 忙しい連休(その2)。
翌日、お昼過ぎに池田先生が車で迎えに来てくれた。玄関先で先生を迎えると、両親が揃って池田先生に挨拶をする。父の態度は、平川さんの時とは打って変わって、機嫌が良さそうで。「お医者様」と言う肩書の信頼度を目の当たりにした。
アタシは池田先生と出掛ける事を両親に告げると、「これから高崎のお婆ちゃんのお家に行く予定だったんだけど」と言われた。「高崎のお婆ちゃん」は、父の実家だ。祖母は、アタシの事を可愛がってくれているので、会いたかったけれど、従兄達とは馬が合わず、子供の頃から虐められていて良い思い出がないので、あまり行きたくない所だ。だからアタシは行かない事を両親に告げると、一人で大丈夫かと心配された。
「社会人になったのだし、大丈夫だよ」と言っても心配な様で、それを見ていた池田先生が、「それなら僕の所で、お預かりしましょうか?」と言った。全面的に池田先生を信用している二人は、「それならお願いします」と、アタシを池田先生に託す。それはそれでどうなのかと思ったけれど、アタシの事を心配して、祖母の家に二人が行けなくなるのは、悪いので黙っておく事にした。祖母だって、息子である父に会いたいと思っているだろうし。
池田先生が、両親に何時ごろ出掛ける予定なのかを尋ねると、「そろそろ出るつもりだった」と答えが返ってくる。「それなら都合の良い駅までお送りしますよ」と爽やかな笑顔で池田先生が言うと、最初は悪いからと断っていた両親だったが、結局、お言葉に甘える事にしたのだった。