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おもちゃのCHU-CHU-CHU★

第37章 忙しい連休(その2)。


 「あ、でも今日は違いますよ? 何かは着いてからのお楽しみだから言えませんけど」

 そう言って先生は、ちょっと得意気な顔をする。アタシは料理は出来るけど、得意かと言われたら普通だ。人に自慢出来る程の腕前ではない。アタシがそう言うと、「じゃあ、教えましょうか?」と先生は言った。忙しいのに申し訳ないと言うと、先生は「教えると言うのは、口実で、唯、森脇さんに会いたいだけですよ」と言って笑った。

 先生のその言葉は、どう言う意味で言っているのだろう。アタシは先生の横顔を盗み見ながら考える。「治療」だったら、患者とお医者様だけど。料理は趣味で。患者とお医者様の関係を超えるって事だよね。でも、アタシは山岡さんと両想いになって、付き合う事になったし。そうなると、今までの様にはいかないよね。どうすればいいんだろう。

 (これはちゃんと山岡さんとの事を言わなくちゃ!)

 アタシはシートベルトをギュッと握ると決意する。池田先生は、患者と向き合ってくれるお医者様だもの。話せばきっと分かってくれるし、他の治療方法も考えてくれる筈。

 だけど、どう言って切り出せばいいんだろう。どのタイミングで言えばいい? カウンセリングして欲しいって言えばいいのだろうか。でも、そうするとエッチな雰囲気になったりしないかな? そんな事を考えていると、池田先生のお宅に着いてしまった。まだ、考えが纏まっていないのに。

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