おもちゃのCHU-CHU-CHU★
第37章 忙しい連休(その2)。
「さあ、どうぞ」と言って池田先生は、地下の駐車場からお部屋に続く扉の鍵を開けると、アタシを中へと促した。ここまで来て、躊躇するのも変だし、アタシは促されるままに中へと足を踏み入れる。物置部屋を抜けて螺旋階段を上ると玄関へ到着。今日はスリッパが二足、既に用意されていた。
「それでは、支度をしてしまいますので、DVDでもご覧になっていて下さい」
そう言って先生は、DVDが収められている引き出しを開けた。海外の医療系ドラマや動物のドキュメンタリー番組が多い様だ。どれにしようか迷っていると、先生は「すみません。流行りのドラマや映画がなくて……」と申し訳なさそうに頭を掻いた。アタシもドラマは殆ど見ないから大丈夫ですよと言うと、先生は少しホッとした様に息を吐いて小さく笑った。
アタシは先生のライブラリーの中から、動物のドキュメンタリー番組を録画したDVDを選ぶと、デッキにセットして貰った。先生がリモコンを渡してくれ、「直ぐに準備してしまいますね」と言って、キッチンへ向かうと、アタシはテレビを点けた。大画面で見る、野生動物達の映像は迫力があって、アタシはテレビに釘付けになっていた。画面の大きさもさることながら音も凄くて、まるで映画館にいるみたいだった。一人暮らしのお家に、こんな設備があるなんて、お医者様ってやっぱり、お給料がいいんだな。なんて下世話な事を考える。