おもちゃのCHU-CHU-CHU★
第37章 忙しい連休(その2)。
「今日は帰らなくていいのだから、少しくらいならいいでしょう?」と言って、先生はワインを開ける。先日の失敗が思い出されて、恥ずかしくなったが、「飲み過ぎないようにするぞ!」と心に決めて、一杯だけ頂く事にした。
オイルフォンデュだけではなく、ちょっとした前菜も綺麗に盛り付けられていて、食欲がそそられる。生ハムを薔薇の花の様に盛り付けるとか、先生って何者なの!? 美的センスのないアタシでは、到底作れそうにない。池田先生の女子力の高さに、アタシはちょっぴり情けなくなった。
食事もひと段落し、ご馳走になったお礼に、後片付けはアタシがする事にした。服を汚さない様にと、先生がエプロンを貸してくれたので、それを身に着けてシンクの前に立つ。スポンジを泡立てて、お皿やグラスを洗っていると、背中に視線を感じた。
振り向いて見ると、池田先生が頬杖をついて、アタシを見ている。アタシは、「お皿は割らない様に気を付けるから大丈夫ですよ?」と言うと、「お皿が心配で見ていたんじゃないですよ」と先生は笑いながら言った。
「女性がキッチンに立っているのを見るのが久し振りなので、つい見惚れてしまいました……」
先生、酔っているのかな? 何だか目がとろんとしていて、蕩けそうな顔をしている。「お水を入れましょうか?」と尋ねると、「大丈夫ですよ」と言って、先生は椅子から立ち上がった。