おもちゃのCHU-CHU-CHU★
第38章 忙しい連休(その3)。
平川さんの車に乗せて貰い、家までの道のりを軽くドライブする事になった。平川さんは、カーナビで、なるべく渋滞を避けて車を走らせる。「たまちゃんとドライブ出来て嬉しいな」と言って、ニコニコしている平川さん。しかし、先程の事を思い出して、不謹慎だと思ったのか、「一人で浮かれてゴメンね」と謝ってくる。
「僕が「お店で待ってて」なんて言わなければ、きっとあんな目には遭わなかったのに……」
そう言うと平川さんは、ハンドルを握る手に力を込めた。そうだろうか。あのまま電車に乗っていたら、きっとあの男に痴漢をされていただろうと思う。あんなお店の中で触ってくるくらいだもの。だから、平川さんの所為じゃない。
「ところでたまちゃん。あの男が言っていた、「スカートの中を見て見ろ」ってどう言う事?」
平川さんにそう尋ねられて、アタシは返答に困った。池田先生の事は言わない方がいいよね。何て言えばいいだろう。アタシは頭を働かせ、尤もな言い訳を考える。
「誰にも言わないで下さいね? あの、トイレが混んでいて……。ちょっと粗相をしてしまったので……。その……パンツを……」
かなり恥ずかしい言い訳だけど、本当の事を言うワケにもいかないし。変な子だって思われるかなと、ちょっと心配ではあるけれど。