おもちゃのCHU-CHU-CHU★
第38章 忙しい連休(その3)。
泣きそうなアタシを気遣って、平川さんはお店に入るのは止めようと言い始めた。それなら、両親は今、親戚の家に行っているので、アタシの家で話しましょうとアタシが言うと、平川さんは戸惑っていたが、結局、家で話す事になった。
家の近くの駐車場に車を停めて貰い、家へと案内する。とは言っても、家の前まで送って貰った事もあるので、平川さんは知っているのだけれど。
玄関の鍵を開け、居間へと案内する。ソファに座って貰い、アタシは飲み物を淹れると、テーブルを挟んで平川さんの前の床の上に座った。
「それで、話って?」
平川さんは、膝の上で両手を合わせて組みながら、身を乗り出してアタシに尋ねる。アタシは、グラスの中のお茶を一気に飲み干すと、溜息の様に大きく息を吐き出し、平川さんの顔を見上げる。
少し不安げな顔。多分、アタシの態度から、平川さんは何となく気付いているんだろうと思う。それでも、言わなくちゃ。このまま、アタシに平川さんを縛り付けておくわけにはいかないもの。
平川さんだったら、これから幾らでも素敵な人に出会えるだろうし。アタシなんかよりも、その人の方が幸せにしてくれる筈だもの。なんて思うのは都合が良過ぎなんだろうか。