おもちゃのCHU-CHU-CHU★
第41章 川上達哉という男(その3)。
友達の彼女と言う事で、後ろめたい気持ちはあったけれど、性欲には抗えず、結局、抱いてしまった。ヤツが寝ている、その横で。俺は一度きりで終わらせるつもりだったから、その後、彼女から散々アプローチされたが、全て跳ね除けた。しかし、一度犯した過ちは、戻せない。海に行ったあの日から、歯車が狂い出していたのだ。
自慢ではないが、俺はバイト仲間の女子から人気があったのだが、ヤツの彼女は、その女の子達に俺と寝た事を吹聴していたらしい。それがヤツの耳にも入り、俺とアイツの仲は険悪になってしまった。
俺は時間が解決してくれるだろうと、アイツの気持ちが落ち着くまで、待とうと思っていた。けれどその機会は永久に訪れる事はなくなってしまった。アイツが死んでしまったからだ。
バイクの事故だった。
俺との浮気を耳にした後も、ヤツは彼女と付き合っていたのだが、その頃の二人は、傍から見ると彼女がアイツを利用しているだけにしか見えなかった。彼女は他の男と遊んで、帰る足がなくなると、アイツに電話しては、バイクで迎えに来させていた。
その日、彼女が入る筈だったシフトを急遽、アイツが変わって入ったのだが、彼女はヤツに働かせて、他の男と遊んでいた。そして、バイト開けのアイツを呼び出した。アイツは、自分のシフトから彼女のシフト分までを通して働き、殆ど寝てない状態なのにも関わらず、呼び出されるままに、彼女を迎えに行ったのだが、その途中で睡魔に教われ、転倒してしまった。そして後ろから来ていたトラックに跳ねられ、帰らぬ人となったのだ。