おもちゃのCHU-CHU-CHU★
第41章 川上達哉という男(その3)。
あの女の所為でアイツは死んだも同然なのに。あの女は数日後には、俺に付き合って欲しいと言ってきた。
「どの面下げてそんな事を言っているんだ?」
「お前にそこまでの魅力があると思ってんのか?」
「一度寝たくらいで調子に乗ってんじゃねぇよ」
思いつく限りの悪態を吐き、俺はあの女を愚弄してやった。しかし、勘違い女って言うのは面倒臭くて。全てをプラスに考えるから手に負えない。俺は面倒臭くなって、そのバイトを辞めた。丁度その頃、女性向けのAVの企画でスカウトされ、アイツが「夢」だと言っていた、AV男優の道へと進む事になった。
俺は、アイツの命日には必ず墓参りをしているが、ヤツの家族から、あの女が来ているとは聞かされた事がない。あの女が我侭を言わなければ、アイツは死なずに済んだかも知れないのに。何であの女じゃなくて、アイツが死ななければならなかったんだろう。俺はアイツとの仲直りの機会を永久に奪ったあの女が、今でも許せない。
アイツは俺を憎んだまま、永久にこの世からいなくなってしまった。一生、許して貰えないまま、俺は生きていかなければならない。生きていたとしても、許して貰えるのかは分からない事だけれど。もう、十年近くも経つけれど、この先の人生も、それを抱えて生きていかなければならない。