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第42章 幸せのアフター6。
地下鉄に乗って、暗い窓の外を眺めながら、山岡さんとの結婚生活を想像してみる。未だ、お付き合いを始めたばっかりで、"結婚"と言う言葉なんて、考えてもみなかったけど。山岡さんは長男だし、アタシがお嫁に行くのかな。でも、アタシも一人っ子だし。アタシが居なくなったら、両親二人きりになってしまう。きっと寂しがるだろうな。でも、同じ都内に住んでいれば、いつでも顔を見せる事は出来るよね。孫が出来て、連れて帰ったら、甘やかされそうだな。なんて、アレコレ考える。
「モリリン? どうした? 疲れちゃったか?」
少し混雑している電車内で立っていたので、疲れたと思われたのか、心配そうにアタシの顔を覗き込む山岡さん。アタシは大丈夫だと微笑むと、「そうか」と言って微笑みを返してくれる山岡さん。「じゃあ、何を考えていたの?」と尋ねられて、ドキッとしてしまった。
山岡さんは、アタシとの未来をどう考えているんだろう。アタシだけ勝手に盛り上がって、結婚生活を想像して。山岡さんは違うかも知れないのに。そう思うと、不安になる。でも、電車の中でする話じゃないし。なんて考えたアタシは、「川上さんは大丈夫かなって」と言って、山岡さんからの質問の答えをはぐらかした。
「多分、大丈夫だよ。アイツ、俺の家に泊まった事もあるし。もし酔い潰れたら、親父が何とかしてくれるから」
そう言うと山岡さんは、スマートフォンを取り出して「カワにモリリンが心配してるから、飲み過ぎるなよってメッセ入れとくな?」と、画面を操作して川上さんにメッセージを送った。