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おもちゃのCHU-CHU-CHU★

第43章 予兆。


 「なぁ? 達哉。俺はさ、好きになるのは自由だと思ってるよ。まあ、結婚してるのに、他の異性に手を出すのは、ルール違反だけどな。でも、結婚してなきゃルールなんて物は存在しねぇ。オスは自分の精子を優秀なメスに注ぎてぇもんだし、メスは少しでも優秀な精子を注ぎ込まれてぇもんだ。それが、生物としての本能だ。結婚してても、本能が勝るヤツは、自分の欲望のままにやっちまうけどさ。本当は動物としては、それが当たり前な事なんだと思うぜ?」

 「何が言いたいの? 不倫はOKって事が言いたいの?」

 「いや、そうじゃなくて……。お前さんがもし、珠子ちゃんの事を好きなら、一徹の事なんか考えなくていいから、気持ちを伝えてみればって事。その後、選ぶのは珠子ちゃんだけどさ?」

 「酷い親だな。自分の息子が傷付いてもいいの?」

 「おっ? 奪える気でいるのか?」

 「……いや。彼女はヤマに夢中だもん。俺が入り込む隙なんてないよ……」

 「そんなの分からないだろ? まあ、いいや。お前さんが、友情を一番重視するって言うのであれば、それはお前さんの生き方だから、何も言わない。けど、死んだ友達にしがみ付くのだけは、そろそろ止めろ。お前さんは、現在進行形で生きてるんだからな?」

 「ああ……」

 「よし! 達哉、今日は飲め! 眠くなったら、上で寝ていいから。とことん飲もうぜ?」

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