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おもちゃのCHU-CHU-CHU★

第43章 予兆。


 (俺は誰の為に……。何の心配をしてるんだろ……)

 そう思い苦笑する。ヤマの為なのか、それともモリーの為なのか。或は二人の為なのか。多分、モリーの為なんだろう。百合さんの登場で傷付くのはモリーだと思うし。そりゃあ、ヤマだって古傷を抉られる思いをするだろうけど。でも、その傷は今、モリーが治してくれているワケだしね。

 それにしても、あれから子供も生まれて「母として落ち着いた」とヤマが言っていたけれど。俺が過去に何度か家にお邪魔をした時も、母の顔をしていたけれど。今のあの人はどうやらそうでもなさそうだ。先程の顔はどう見ても「女」の顔だった。多分、それが俺の胸をザワつかせたのだと思う。

 小百合ちゃんが小学校に入り、ある程度は自分の事が出来る様になったから余裕が出来たのだろうか。女の顔になるのは、マスターの為だけだと思いたいけど。ちょっとマスターに探りを入れてみるか。

 「ねぇ? マスターはさ、未だ現役?」

 男として現役であるのは、先ず間違いないだろう。未だ彼は五十代に突入したばかりだ。それに現役でなければ、ここまでの色気は出ないのではないだろうか。

 「何だよ、突然」

 「いやさ、さっきのラブラブ振りを見せられたから、どうなのかなぁって思ってさ?」

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