おもちゃのCHU-CHU-CHU★
第44章 突然の訪問者。
(えっ!? 「お兄ちゃん」って? ええ? この子、ひょっとして山岡さんの……?)
「お兄ちゃん! お兄ちゃん!!」
そう言って彼女は、甘える様に山岡さんのお腹にすりすりと頬を寄せる。山岡さんは、少し困惑した顔をしながらも、彼女の頭をポンポンと撫で、「どうしたんだ?」と声を掛けた。
「お兄ちゃんに会いたくて、来ちゃった!」
山岡さんの妹さんらしき女の子は、そう言いながら嬉しそうな笑顔を浮かべて、山岡さんの顔を見上げる。黒く艶やかな髪はツインテールに纏められており、前髪は邪魔にならない様にヘアピンで留められている。睫毛が長く、桜色の唇はふっくらとしていて。そして目のパッチリした色の白い、とても可愛らしい女の子だった。山岡さんに口元や目の形等が似ていて。一目で兄妹だなって分かった。
「もしかして、一人で来たのか?」
山岡さんは、妹さんが腰に回した腕を外すと、彼女の目線に合う様にしゃがみ込んで尋ねる。妹さんは、首をブンブンと横に振り、「ママと一緒に来た」と言った。
「え? 母さんも来てるのか?」
「ううん。ママはもう帰ったよ。御用があるからって。今日はお家に帰れないから、お兄ちゃんのお家に泊めて貰いなさいって」