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おもちゃのCHU-CHU-CHU★

第45章 絡まる糸(その1)。


 「えっ!? 先生? アタシ、何ともないですよ?」

 「その様には見えません。いいからいらっしゃい」

 そう言って強引にアタシの腕を引く、池田先生。アタシは先生の手を振り解けなくて、そのまま医務室へと連行されてしまったのだった。

 久し振りに嗅ぐ、消毒液の匂い。先生はアタシに椅子を勧め、コーヒーメーカーのスイッチを入れる。そして、ジャケットを脱ぐと、ハンガーに掛け、白衣を羽織った。

 「森脇さん。申し訳ないですが、ここにコーヒーとフィルターがありますから、淹れておいてくれますか?」

 池田先生は、そう言うとミニキッチンの棚の扉を開け、粉とフィルターの場所を教えてくれる。アタシが分かったと頷くと、先生は受話器を取り、内線でAD部に連絡を入れた。

 「心配は要りませんよ。少し休ませたら、そちらに戻らせますから。はい。それじゃあ」

 そう言って受話器を置く先生。誰が出たんだろうか。山岡さんじゃないといいな。余計な心配を掛けてしまうもの。そんな事を思いながらコーヒーを淹れ、先生の机の上に置く。先生に、「貴女もどうぞ」と言われたので、言葉に甘えて自分の分も淹れて飲んでいると、扉をノックする音が聞こえた。

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