おもちゃのCHU-CHU-CHU★
第45章 絡まる糸(その1)。
池田先生の言葉に、平川さんは「それは仕事だから」と答える。自分が求めているのは仕事としての関わり合いではなく、プライベートでの関わり合いなんだとか。
「ねぇ、たまちゃん? 僕は週に一回なんて言わない。月に一日だけでいい。僕と過ごす時間を作ってくれないかな?」
そう言って平川さんが、アタシの顔の両脇に手をつき、覆い被さる様にしてアタシの顔を見下ろす。その目は真剣で、そして必死な感じがして心が揺らいだ。それを打ち消す様に、池田先生が「仕事であろうが、プライベートであろうがやる事はやっているんでしょう? 何を贅沢な事を言っているんですか?」と非難めいた言葉を平川さんに投げる。
「僕はただエッチがしたいだけじゃないんですよ。一緒にドライブしたり、買い物に出掛けたり、ご飯を食べに行ったり、一緒に美術館に行ったり……。たまちゃんと、そう言う時間を過ごしたいんです。それには平日の夜だけなんて、時間が足りない。ねぇ、たまちゃん? 僕の願いを叶えてくれないかな?」
平川さんは一気にそう言うと、アタシの返事を待つ様に口を噤んだ。正直に言って、そんな風に思われているのは嬉しいから、心がグラグラと揺れる。まるで強風に煽られる高層タワーの最上階に居るみたいに。アタシの気持ちが揺らいでいるのを見透かされたのだろうか。平川さんは再び口を開いた。
「それじゃあ、月に一日なんて言わない。ヤマの都合が悪くて、ポッカリ時間が空いた時でいいよ。それならいいでしょう?」
「それじゃあ、平川さんを利用するみたいで……申し訳ないです……」