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おもちゃのCHU-CHU-CHU★

第46章 訪問者、再び。


 やがてスリッパのパタパタと言う音と共に、グラスを持った山岡さんが戻って来た。山岡さんはベッドの端に腰を下ろすと、サイドテーブルにグラスを置くと、アタシを抱きかかえて身体を起こしてくれた。「はい」と言って差し出されたグラスを受け取ると、炭酸の泡がピチパチと音を立てて弾けている。それを一口含むと、冷たくて甘いサイダーの味が広がった。アタシはゴクゴクと喉を鳴らしながら、グラスの半分くらいを飲み干すと、ホッと溜息を吐く。スポーツ飲料程ではないけれど、身体の中で炭酸が弾けて沁み通っていく感じがした。

 山岡さんは、安心した様な笑みを浮かべて、アタシがサイダーを飲むところを見ていたのだけれど。三分の二程まで飲み終わると、「俺にも頂戴?」と言って、アタシの手からグラスを奪った。そしてグラスに浮かんでいた氷を一つ口に含むと、アタシに口付ける。山岡さんはアタシに口を開かせると、舌で氷を押し込んで来た。それを飴玉の様に、アタシ達は舌で転がす。互いの口の中を行ったり来たりする氷は、熱いアタシ達の口の中で、みるみる融けて小さくなっていく。

 山岡さんが唇を離し、「もっと欲しい?」と尋ねるので、アタシは頷くと、山岡さんはグラスの中から、また一つ氷を口に含んでアタシに口付けた。アタシ達は暫くそうして口の中で氷のキャッチボールを愉しみながら、ベッドへと身を沈ませる。そして氷がなくなると、山岡さんは再びサイドテーブルにあるグラスを取り、氷をまた一つ口に含む。アタシは口付けが来るのだと思って目を閉じて待っていると、山岡さんは唇ではない場所に口付けた。

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