おもちゃのCHU-CHU-CHU★
第48章 山岡一徹という男(その3)。
百合との事があってから、人を好きになる事に臆病になっていた。そんな俺が、やっと本気で好きになれた女の子だ。手放したくなくて、彼女の家の近くに引っ越した。俺の部屋に来れば誰にも邪魔をされずに二人きりの時間が過ごせる様にと。そうやって俺は少しでも他の男がモリリンに付け入る隙を与えない様にしたのに。
毎週、小百合に部屋に来られては、モリリンとの時間が削られてしまう。これは早急に何とかしなければならないと、俺の心が焦り出した。
けれど、どうやら神様は俺に意地悪な様だ。どうしても見過ごせない状況を目の当たりにしてしまった。
晩飯の前に小百合を風呂に入れようと、服を脱がせていたところ、背中や肩、腹や胸に拡がる沢山の痣を見てしまったのだ。
「小百合、これっ……! どうした?」
俺はしゃがみ込んで小百合の目を見ながら尋ねる。すると小百合は目を逸らしながら、転んだと答える。あからさまに嘘だと分かる程に同様して。
「嘘を言うな。誰だ? 誰にやられたんだ? お前、虐められているのか?」
子供同士の虐めでこんな風になるとは考えられない。未だ、小学一年生だ。上級生の線はあるだろうけど、授業が終わる時間が合わないし、外で遊ばない小百合は上級生とは接点が殆どない事を考えると、多分、学校での虐めではない。