おもちゃのCHU-CHU-CHU★
第49章 治療。
(ここからだと、地下鉄で一本で行けたよね?)
池田先生のお家がある最寄り駅の名前を思い出しながら、スマートフォンで路線を確認する。いつも車に乗せられているから分からなかったけれど、どうやら先生の住んでいる場所は、会社の最寄り駅から僅か三駅程の距離にあるらしい。
先生の勤める病院は、先生のお家を起点として会社とは逆方向に五駅程。ひょっとしたら、自分の方が早く着いてしまうかもなと考えながら警備員さんに会釈をし、裏口の扉を開けた。
すると、門のところに池田先生が立っているのが視界に入って来る。スーツを着ているところを見ると、勤め先からそのまま車で迎えに来てくれた様だ。ひょっとして、アタシが逃げ帰ると思ったから迎えに来たんじゃないだろうか。
「いえ、そう言うつもりではありませんよ? 最寄り駅を覚えていらっしゃらないかと思いまして……」
助手席で、「心外だ」とばかりに頬を膨らませているアタシを横目に、ハンドルを握りながら池田先生はクスクスと笑う。
「それならメールで駅名だけ教えて下されば、赤ちゃんじゃないんですから行けます!」
そう言って更に頬を膨らませると、先生は急に車を路肩に停めて、盛大にお腹を抱えて笑い出した。