おもちゃのCHU-CHU-CHU★
第49章 治療。
「すっ……、すみませんっ。貴女が余りにも……可愛らしいのでっ……。くくくくくっ……」
ハンドルに覆い被さり顔を伏せ、肩を震わせる池田先生。そんなに笑われる要素が何処にあるのかと、アタシの頬は増々膨れ上がる。初めて会った時にも思ったけれど、先生は笑い上戸だ。
先生は一頻り笑った後、ハンドルに伏せていた顔を半分だけ上げて、二の腕越しにアタシをジッと見つめる。その目が優しくて。アタシの心臓はドキドキと暴れ始めた。先日の医務室での意地悪な顔ではなく、いつもの優しい先生の顔をしていたから。
「あー……。笑ったから、お腹が空きました。森脇さんはどうですか?」
「えっと……。はい、空きました……」
「そうですか……。でも、今日はあまり時間もないですし、簡単な物でも買って帰りましょう」
そう言って先生は少し車を走らせ、お家の近くまで来ると、小洒落たお店の前で車を停めた。作るのが面倒な時によく利用するお店なのだそう。一緒に店内に入ってみると、高そうなお惣菜が並ぶデリだった。
生ハムやらテリーヌやらレストランの前菜に出て来そうなお惣菜から、メインのトロトロに煮込んだビーフシチューやハンバーグ、ソテーされたお魚等、どれも美味しそうだ。